
先日のUAEでの一週間滞在に、僕は「核シェルター」を材にした2つの作品を携行した。
一つは安部公房の『方舟さくら丸』。行きの飛行機の中でほぼ完読したが(片道11時間)、これは異国でこそ読むべき、国家主権を問う作品だと感じた。旅行でこちらの気分が高揚する中で読んだ、ということもあるけれど。物語は核シェルターが実際に稼働する前で終わる。
もう一作品が大江健三郎『洪水はわが魂に及び』。まだ未読作品のある作家なので、まとまった余暇の機会の今、読むことにした。この作品は中上健次『鳥のように獣のように』所収の「読書ノート」でも取り上げている作品で、8年ぐらい気にしながら読んでこなかった作品でもあった。
同じ核シェルターを基点にした作品は、東大出身という経歴かつ同時代を過ごし、ノーベル文学賞で騒がれた両作家という、共通の背景がある。これらの対比はかなり興味深い。この2作品をまとめた評論はありそうだから、探して読んでみたい。
今回、その『洪水は』で核シェルターに住む「勇魚」が息子の「ジン」に中国風の粥を作ってやる箇所がある。
(作り方)深鍋に大量の水をいれて火にかけ、二つ割りの鶏をそのまま沈ませ、洗った米とにんにくのかたまりをいれる。三十分煮たら鶏は引き上げないとバサバサの繊維の束になってしまう。鶏の腿と手羽、それに肪骨についている肉を細かく裂いて鍋の粥の表面に載せ、塩をいれてもう一度煮立てる。ゴマ油と醤油をまぜた小皿に葱の細切りを薬味にいれ深皿にとった粥を食べる。(Webサイト「大江健三郎ファンクラブサイト」より引用)
これを先日の日曜日、実践してみた。実際は、スーパーで買った鶏の手羽元と刻んだにんにくを100円土鍋の煮え立つ湯に突っ込み、洗った米を1合程度入れて待つのみだったが。煮込んでいると、もはやお粥ではなく雑炊の趣き。塩こしょう程度では味がなく、醤油とごま油で何とか味のついた代物はできたが。。。うまく料理できた暁にはこちらで披露(写真)したい。